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■ 放課後の剣士 現代物ファンタジー。ラノベ。アニメ調。 こうして短編集としてみると、じつにアニメ的。ていうかアニメ。よくも悪くも アニメ。皮相的で深みのない、展開のためのトラウマでは、あまり読者の気持ちを とらえられないだろうに。 久々に読み飛ばしてみた。つまり、その程度の作品。 ホントにコレ、傑作シリーズなのか? 普通すぎるし、浅すぎやしないか? ■ オーキスの救世主 ザンヤルマの剣士3 伝奇シリーズ第三弾。 この人の文章は、ピントの合ってない、というか合いすぎているというか、とに かくいらんとこまで描写している感がある。あれこれ全部書きすぎて、肝心のなに が書きたいのかがわからない。そのくせ一番根っこの、渦中にある人間の心情描写 はうすっぺらく、各人の抱えている苦しみ、トラウマってもんが、こっちに伝わっ てこない。描写のズームイン、ズームアウトができていない感じ。 また、わりとパターンにはまって作っているのだが(悪の親玉が今回の敵に秘密 道具を渡す→主人公、敵にたぶらかされる→そのころ副主人公は敵方の女といちゃ いちゃしている→主人公、ヒロインに説教喰らって目覚める→さあ決戦だ→人間っ て……→欝だ)どうも単に天然でやっているのか、遊びがないのがいけないのか、 ワンパターン大好きの小生としてもいただけない。もっと毎回主人公のダメ人間ぶ りを見せつけるべきだ。 今作で一番いただけないのは、敵方の女の榊村で、おそらくはハマーン・カーン がモデルだと思うんだが、まあそれはどうでもいいとして、不老不死でありなが ら、弱みを握られて望まぬ男の子を産まされ、さらにその子との間にまた子供を産 まされる、という設定が、いっじょうにかるい。そもそも実質不死身の存在である 彼女がどんな弱みを握られているのか書いてないし、自分の子供であり孫である存 在に対しどう思っているのかもまったく書いていない。明治維新の頃から生きてい る、という設定もまるで意味をなしていない。きちんと扱えないなら、そんな設定 はするべきじゃない。今作のテーマが「宗教のおそろしさとそれに頼らざるを得な い人間の心の弱さ」ならば、彼女の存在自体はまったくの不要物であったと思え る。そんなものに重い設定を与えるな。 内容もたるいが、文章はそれ以上にたるい。 つまらないとは思わないが、なんだっておれはこんなものを読んでいるんだろ う、という気にさせる。もっと文章の上手い人にリライトさせて、三分の二くらい の内容にすれば、ちょうどいいと思うんだけどな。パッとページを開けたときの字 面がわりと不快なんだよな。そんなものを読むなといわれればそれまでだが。 ■ フェニックスの微笑 ザンヤルマの剣士4 伝奇ファンタジー四作目。 流し読みをしたせいか、シリーズ中いままでで一番面白く読めたかもしれない。 流し読みのほうが面白く読めるっていうのもアレですが。 多重人格物ということをもった早くから前面にだしたほうが良かったとは思う。 前半と後半で話の主題が変わっている気がする。それを強引にくっつけた感じ。 作者の持つ安易さ、安っぽさと生真面目さ(換言するとつまらなさ)が拮抗して いる感じ。 ヒロインの存在がどうにもご都合主義なのはずーっと払拭されず。 ぼこすかに云いながら、なぜか読んでいるのは、最初読むとき、安かったのでめ んどいから全部買ってしまったから。 ■ フェアリースノウの狩人 ザンヤルマの剣士5 伝奇ファンタジーシリーズ五作目。 単発物の連なりから、いよいよ大きな物語が動きはじめて、多少好印象。 全体とてしては可もなく不可もなく。 ようやっとメインキャラの顔が見えてきた感じ。 人のトラウマがいつもステロタイプに過ぎるのがな。 ■ イリーガルの孤影 ザンヤルマの剣士6 長編シリーズ六作目。 わりかし普通。 完全に「次巻に続く」なので、これだけではなんとも。 しかし、本当になんでヒロインは主人公に惚れているのか? いまいちよくわか らないが、それはデフォルト設定として納得しなきゃいけないのでしょうか? ま あそれは良しとして。 一巻のころから、副主役格であるところの氷澄を、どうも作者はひっじょうに気 に入っているようなのだが、そのわかりやすい形でのカッコよさは、どちらかとい うと寒い、どうでもいい方向であり、作者があまり肩入れしていないのなら流して すむのだが、どうにも作者とこちらの温度差がひっかかる。 まあ、作者が自分のキャラに惚れないでどうするんだ、という気持ちはあるんだ が。 どうでもいいが、前から思ってたんだが、イラストの人は、個人的には可もなく 不可もなくなんだが、ときどきとても下手になる。変なはなしかもしれんが、真面 目に原作を読みすぎているな、と思う。 デタラメなことを云うが、挿絵を頼まれて、本当に原作のシーンを再現した絵し か描けぬやつは、しょせんそこどまりであろう。 ■ モノクロームの残映 ザンヤルマの剣士7 長編シリーズ七作目。 およそ三冊にわたって続いたシリーズの完結編。 正直なところ、わりと面白かった。 特に後半、いままでの伏線を消化しつつ、ばたばたとキャラが死んだりしていく ところは、この作品とは思えぬほど展開がはやくダイナミックで、良かった。 まあ、伏線の張り方、消化のしかたは、予想の範囲内で、かといって「やっぱり そうきたな」とニヤニヤするほどではなく、中途半端なんだが、しかしまあ十分に 許容範囲だろう。 あと二冊で完結。完結にむけて全体の構想も順調に消化されているようで、キャ ラの深みも出てきた。うまくまとめてくれていることを祈る。 ■ ファイナルの密使 ザンヤルマの剣士8 長編シリーズ八作目。 うーん、最終編にはいってどうなるかと思えば、あんがいぬるぽ。 最後の敵組織FINALが、なんともぬるぽい。まあ、非合法ではあるが、あく まで政治団体であるとしているあたりにリアリティはあるといえばあるが、なんと いうかむにむに。 焦らしに焦らして登場したライバル佐波木が、いまいちなんというかアレなのも また。 まあ、次の最終巻次第ですかね。 ■ イェマドの後継者 ザンヤルマの剣士9 長編シリーズ最終巻。 さて、本編九冊と、外伝的な短編集一冊、あわせて十冊のシリーズを読み終わっ たわけだが…… ……んんんんんんんんんんんんんんん、びっみょーーーーーーーーーー! なんだこの沸きあがる中途半端感は。 FINALとの戦いは非常にへたれた感じに展開し、三人目の剣士ヒルデもなん だか前面に押しだしたわりには安易なオチ。 戦いのなかでいわば「負の主役」として成長しなければならなかったライバル・ 佐波木は、べつにさして成長もなにもせず、その行動原理たるやただの「わるい奴 はみんな殺してやるぅ。だから世界のみんな殺してやるぅ」であって、ただ正義漢 が暴走しているだけだし、そこにいたる心情もじくじくと書かれてはいるがあまり 実感に乏しくステロタイプに過ぎる。 当面の悪役、ウラージェロに作者が惚れすぎて、決着がちゅーとはんぱになった のも痛い。 なによりも全編にわたっての謎であった「前文明はなぜ崩壊したのか?世界を滅 ぼすザンヤルマの剣とはなんなのか?」が、ひっじょうにへっぼーんなオチであっ た。ネタバレであるが、「文明が進みすぎて他者と触れ合うことなくすべての欲望 がかなえられるがゆえにみんなHIKIKOMORIとなった世界で、強制的にみんなの心を 触れ合わせたらほとんどの人間がアヒャった」ってどうよ? だらだらと長々とつづいたわりに、なぜか最後の100ページくらいがおせおせ な感じなのも気になった。 なにより、ヒロインの存在が最後までご都合主義で、とちゅうからラブラブにな りつつもラブコメ道奥義「寸止めの術」するためにいたのかと。結局、七巻ぐらい で「ガキのころレイプされたことがあるくさい」ところ以外は、そんなに見所は。 まあー、なんつーか、十冊呼んだ感想としては、キャラの魅力は薄いが、普通に それなりにできたライトノベル、といったところでせうか。 文章をかりこむことの大事さを学ばせていただきました。ながけりゃいいっても のじゃない。 |