|
■ 私は虚無を月に聴く SF。連作短編? 虚空牙シリーズ第二弾にして、vsイマジネーターシリーズ第四弾。 悪くない。この形式は好きだ。現代世界はコールドスリープの夢であり、管理プ ログラムと侵入者との争いを、ひそやかな戦場となっている。コールドスリープの 外にある月面世界は七つの組織が相争うはげしい戦場である。しかしその月面世界 すら人類の英知の結晶ナイトウォッチと異星人・虚空牙の戦いからすれば、とるに たらぬくだらない小競り合いに過ぎない。 どのレベルのものが現実であり、なにが非現実であるというのか、それを判断す ることは人には出来ず、ただ多重に重なり合った世界と現象だけが、そこにある。 すべてを見透すように、謎の存在、イマジネーター水乃星透子はただ微笑む。 神林長平の「プリズム」と非情によく似たところのある話だ。以前から思ってい たが、この作者は神林長平を読んでいるんじゃないかな? それとジョジョ(確定) が、しかし「プリズム」よりは落ちるな。なんか、一見おもわせぶりに書いてい るけど、その実こまかいことなんてなんも考えていないんじゃねえのか? と思わ せるものがある。エバンゲリオン的というか。まあ、この作者は絶対にエバンゲリ オン好きだと思うが。綾波レイ、愛に目覚める、みたいな話し書いてたし。 そもそも、この作者の代表作、ブギ−ポップシリーズ自体がそんなエバン以下略 的な、思わせぶり設定見え隠れ路線で売っている。仮面ライダーの戦いをジョジョ 的にしてエバン以下略風味に仕上げてんだよな。 いま、思いつくままに軽く整理してみるか。 まず、謎の存在ブギ−ポップ。これはある種の状況に反応しあらわれるらしい。 世界の調整者といった存在。が、それが実在する精神体なのか、あるいは主人公の 女の子の単なる二重人格なのかは、明らかにされていない。 で、世界各地では、謎の能力者(MPSDだっけな?とにかく、ようはスタンド 使い)が、ひそかに発生している。それを「世界の敵」と認識し、排除しようとし ている「統和機構」は、人造人間を社会にもぐりこませ、スタンド使い狩りをして いる。人造人間は社会的地位の高いものも多く、大会社の社長などもいる。また、 同時に機構は薬によって人工スタンド使いもつくりだし、これも対スタンド使いに 当てている。 スタンド使いはブギ−ポップの排除の対象になることが多いが、かならずしもそ うとはかぎらない。また、機構と敵対することも多いが、これも必ずというわけで はない。 正義の味方、凪はそうした思惑とは別に、ただ己の正義感にしたがい機構やスタ ンド使いと戦っていく。 そうした状況の中で、目的をはっきりとは告げないままにブギ−ポップはあらわ れ、。謎めいた事を告げると去っていく。 そのブギ−が唯一、最大の敵として認知しているのが、〈イマジネーター〉水乃 星透子。 要するに、主な戦いはブギ−vs透子、凪vs統和機構にある。この四つが同時 に絡まり合うのが、ブギ−の本筋といえる。 が、凪と機構の戦いは本格化せず、凪が事態に対応するだけ。透子のほうは二作 目「VSイマジネーター」において影だけ見せるものの、実体はつかませていな い。同時に、これが問題だが七作目?「エンブリオ侵食、炎上」の時点では、すで にブギ−とイマジネーターの戦いは終わっているらしい。さらに、ブギ−は透子の やろうとしていたことを崇高なものと思っているらしい。そのころも統和機構は健 在で、凪も相変わらず。 で、ここへ来て虚空牙シリーズのリンクで、イマジネーターがよりわけのわから ない存在になっている。 ブギ−の正体とは? その目的とは? イマジネーターはなにを企み、そしいて なせぜブギ−とぶつかるのか? スタンド使いたちは? 凪は? そうして孕んだ謎をうっちゃったまま、今日もブギ−シリーズは続いていく。 完全に飽きられないうちにやめてとけよ。 ■ ぼくらは虚空を夜に視る SF。連作短編? 虚空牙シリーズ第一弾。 「私は〜」よりもライトノベル的な、少年漫画的な感じだな。最強のナイトウォッ チ・マバロハーレイ(=スタースクレイパー?)が誕生するまでの物語。 現実がコールドスリーパーの正気を保つためだけにある夢である、という話。 まあ、微妙。悪くはないんだが、これで終わり? みたいな。 こういう現実崩壊的な設定をつくっておきながら、現実からちっとも出る気のな い作者はどうか? ちとハッタリが効きすぎか? ■ あなたは虚人と星に舞う SF長編。 虚人って、筒井康隆かよ。 まあ、いいんですがね。 なんかいまいちだった。 どちらかというと、虚空牙の謎に迫る、みたいな内容な気もするが相変わらずさ っぱりわからん。どうも宇宙意思だか神様だかそういうものらしい。だとしたらあ りがちでげんなり。て、げんなりしないように適当にごまかしてんだろな。つまり ちゃんとは考えていないんだろ。 この人さあ、わりとよく女の主人公の視点で話がすすむことあるけど、それダメ ね。どうもうわっつらだけ「女」としているだけで、女にする必然が感じられない し、女になっても文体や心理描写がかわるわけでもない。ブギーのようにたまにち らっと使う程度ならいいが、メインになればなるほどどうでもよくなる。 まあ、とにかくこれはいまいちだったな。 世界観がはっきりすればするほど魅力がなくなる作品。なのに、すべてをはっき りとはさせないし、ストーリーの終着点も見えない。えば的。どうしたものか。 ■ ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト ブギぽシリーズの、あー、第何弾かもうしんねえよ。 シリーズ物になりすぎ。いままでの見てないと、なに云ってんだかわからんこと が多すぎ。まあ、シリーズ物の宿命といえばそうなんだが、元々がもったいぶった 話の微妙なつながり具合を楽しませるシリーズなので、あまり読者を置いてけぼり にするのはどうかと。そういう話なのだからこそ、注意して読者を引っ張らねば。 もにゅもにゅ。 さておき、微妙な作品。筋は悪くない。ボーイミーツガールものとしては、あま りベタベタになりすぎず、しかしそれなりに決まっている。ことに最後の方の一文 「相棒と言うには、やることはまだ何も決まっていない。友だちと言うには、ちと 関係が深すぎる。恋人と言うには、お互いにまだなにも言い合っていない。ただ、 お互いにそれぞれに代わりとなる人間がいないことは確かだった」はわりと良い。 良いが、浮いてしまっている。 あれだ。中盤でしくったな。無意味に展開が速すぎるし、二人の共犯作業、およ びスリム・シェイプの見せる社会の裏に実態がない。それがないから、二人の成長 やお互いにとっての存在価値が伝わってこない。あと100ページ伸ばして厚みを 増やすべきかと。 ■ 海賊島事件 戦地調停士EDを主役に据えた、ファンタジーミステリーの第三弾。 意外にも良作。 このシリーズ、ミステリーというのは、あくまでも味付けの問題であって、まじ めに推理物として考えれば駄作もいいところ。なにせミステリーの前提条件である 「この世界ではなにが可能でなにが不可能であるのか」というのがまったく提示さ れていない。よって、どんなトンデモオチでも許されてしまう。ていうか毎回トン デモオチだ。 しかし、シリーズが進んできたからか、一作目では駆け足にすぎ、二作目ではト ンデモ過ぎたそのデタラメさが、いい具合に豪華絢爛さとなっている。ミステリー としては論外。あくまでもファンタジーとして見たときに、良作。 ただ、世界設定が、わりと思いつきや、最近に見た、やったアニメ・ゲームに左 右されてそうなのが感じられるのはどうかと。厳密に練ってないんだよな、あから さまに。シリーズ通して見たときに、それを矛盾と取るか、勢いがあってよいと取 るか……。個人的にはこいつには整合性なんて求めちゃいないので、矛盾ぐらいは 気にしなーい。 ■ ブギーポップ・スタッカート ジンクス・ショップへようこそ も、もう……ブギぽ…… シリーズ、えー、十三冊目か? ながっ。ていうか、ながっ。 意表をついて、本筋がちょっぴり進んでいた。謎の敵・統和機構の実態が少し見 えてきて、システムの中枢、いわば大ボスであるオキシジェンの登場と、わりと少 年漫画的にちょっとドキドキした。が、どうせ当分、システムのことはほっとかれ るに決まっているので(そういや、二巻の時点でまったく同じような登場をしたイ マジネーターはめっきり放置中ですね)べつに次の展開に期待する気になれないの は、ぼくがもう純粋ではないからですかそうですか。 シリーズものとして見たら、次の展開が気になって良かった。単発としてみた ら、わけわからなすぎでどうかと思った。 執事キャラは基本的に好きなので、伊東谷はよかった。 ■ ビートのディシプリンSIDE1 ブギぽ番外編。 あれ、これ上巻だ。完結してないじゃん。ちっ。 あー、少年漫画過ぎ。ここまで少年漫画展開だとちょっと…… ぶっちゃけ、特殊能力合戦なら、ジョジョでもそのフォロワー漫画でもいくらで もあるわけで。いくらでもはないか。 どうでもいいが、元々この挿絵の人の絵は好きじゃないが、うっかりしてたらな んかとても下手になっている気がしたのでアレだった。まあ緒方、お前は「はっぴ ぃ・さるべーじ」でも企画してろ、と(大失敗作) ■ 冥王と獣のダンス 長編ファンタジー。 デビュー前に書いてた作品だけあって、なんというか、まあ一言でいうと出来が 悪い。 一般的に中高生に鉄板で受ける作風にボーイミーツガール物があるが、まあ、そ れの悪い見本というか。 ま、そんなとこで。 |